新老楼快悔 第103話 「札幌黄」って知っていますか

新老楼快悔 第103話 「札幌黄」って知っていますか


「札幌黄」って知っていますか。そう、いまも東区(旧札幌村)周辺で栽培されている玉葱(たまねぎ)のことで、全国的にも有名な産物といわれる。
 この玉葱の栽培を奨励したのが、有名なクラーク博士の同僚であるウィリアム・ペン・ブルック博士。その功績を讃える「ブルック博士顕彰碑」が、札幌村郷土記念館(札幌市東区北13条東16丁目)の前庭に、開祖の幕臣大友亀太郎像と向かい合う形で建っている。札幌村郷土記念館保存会が、昨秋建立したもので、農作物が太平洋をまたいだ国際親善の役目を果たす結果になった。
 この周辺一帯は、維新直前に大友亀太郎が入植して御手作場を拓いた地域で、大友堀を開き、農作物を作った。維新後の明治初め、開拓使の招きで札幌農学校教授として札幌にやってきたブルック博士は、この地に住む農民たちに玉葱の栽培を勧めた。農民たちは初めて見る玉葱にたじろぎながらも、懸命に生産に励み、やがてその作物は「札幌黄」と呼ばれる名産品になり、玉葱発祥の地として全国に知られるようになった。
 基幹産業にまで成長した「札幌黄」と、ここまで育て上げた先人たちの労苦に感謝して、札幌村郷土記念館保存会の人たちは昭和53年に「わが国の玉葱栽培 この地にはじまる」と記した「玉葱記念碑」を建てた。時が流れて、令和の保存会のメンバーの中から「玉葱の生みの親であるブルック博士を顕彰しよう」という話が持ち上がった。
 アメリカに住むブルック家の子孫とも連絡を取り合い、「札幌黄」の原種である「イエロー・グローブ・ダンバース」発祥の街、ダンバーズの歴史協会や古文書館から貴重な資料も入手して、それを折り込んだ記念碑を制作した。正面に博士の写真及び、札幌黄、畑で働く農民の写真、そして博士の業績を英文で刻んだ。この文面の監修にはブルック博士の曾孫、シンシア・レッドマンさんが当たってくれた。
 シンシアさんは「曾祖父が札幌の農業発展に貢献したと認めてくれて本当に嬉しい」と喜びの言葉を述べた。
 札幌村郷土記念館に一度、出かけてはいかが。記念館前に立つ開祖の祖、大友亀太郎像と向かい合う形の顕彰碑。歴史がぎゅっと詰まったような思いになる。記念館にも入館をお勧めしたい。亀太郎の残した古文書類だけでなく、明治から大正、昭和にかけての生活用品や家財類が陳列されている。古い新聞もどっさり保存されていて、驚かされること請け合い。




2023年9月8日


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